RSE Laboratoire

検査項目

目視検査

肉眼検査のことです。白い布の上に真珠を置き、回転させながら真珠の全面を観察します。
かつては真珠を見る際には北窓光線が最適とされましたが、天候や時間などの影響が大きいため、現在では国際規格6500K(ケルビン温度)の標準光源を色判定用の光源として使用しております。

光透過検査

ファイバー・オプティック・ランプによる強力光を真珠の背後から当て内部を透視します。
ナチュラルブルー系の真珠は核と真珠層の間に形成された黒褐色の層(介在異質層)が黒っぽさの原因で、光をまだらに透過するのが特徴です。
一方、放射線照射処理のブルー系真珠は内部の核が褐色に変化するため光を透過しません。
また、真珠や核に割れがある場合には、容易に発見することができます。

反射光検査

真珠を白い布の上に置いて上部から強力光を当てると、干渉色が強調され、観察しやすくなります。
淡色の真珠の場合は真珠の中央部に干渉色を、周縁部に実体色を観察する事が出来ます。
一方、濃色の真珠の場合、干渉色は真珠の周縁部に現れます。

顕微鏡拡大検査

宝石学顕微鏡を用いて上部からの反射照明で真珠の表面を観察し、真珠特有の結晶成長模様を確認します。
通常は数倍から45倍の倍率で観察します。
強力光を併用すれば、穴口から巻き厚や内部の様子を観察することもできます。
真珠は貝の体の中で育まれる宝石です。貝の種類は10万種類もあると言われていますが、貝殻内面が美しい真珠層で覆われたごく限られた貝、つまり真珠貝だけが真珠を作ることができます。極めて薄い炭酸カルシウムの板状結晶が数千枚重なり合って美しい真珠層が形成されます。真珠の表面には人間の指紋のような「結晶成長模様」が見られ、これこそが本物の証です。真珠を鑑別する際には、まず顕微鏡拡大検査で「結晶成長模様」を確認する作業から入ります。ネックレスの場合には、1粒ずつ全ての真珠を確認していきます。

図1
真珠表面の「結晶成長模様」
図2
模造真珠の表面

紫外線蛍光検査

図3
左は加工後のあこや真珠。右はLWUV下の青白色蛍光

紫外線を照射して放出される蛍光を観察します。長波紫外線(LWUV)365nmと短波紫外線(SWUV)
254nmの両用紫外線ランプを使用します。例えば、多くのダイヤモンドはLWUVで青白色を示します。
真珠は未加工であれば黄濁蛍光を示すことが多いのですが、漂白など真珠特有の加工により黄濁蛍光は減衰し、青白色蛍光を示すものもあります。

軟X線レントゲン検査

病院では骨や歯を診断するためにレントゲン検査がよく行われます。
非破壊で内部構造を検査できるX線透過性検査は宝石鑑別の分野にも広く利用されています。
小さい真珠にはエネルギーの低い軟X線が用いられます。X線は原子量が小さく軽い元素ほど、透過性が高くなります。
例えば、ダイヤモンドは軽元素の炭素(C)で出来ているのでX線を透過するためフィルム上には写りませんが、キュービック・ジルコニア(CZ)はジルコニウムという重元素から成るため白く写ります。
真珠は主成分が炭酸カルシウム(Ca)で、やや重い元素からなるためX線が通りにくく、フィルム上に白く写ります。また、真珠の中に軽元素(C,H,Oなど)の有機物が形成された場合、その部分は黒いリングや突起物として写るため、真珠の内部構造が明らかになります。

図4
軟X線レントゲン検査装置
図5
あこや真珠 越物 レントゲン写真

紫外可視分光光度計による検査

試料に各種の光線を当て、光の吸収と反射(透過)を検出する高度な鑑別器材です。
黒蝶真珠は400、500、700nmの3つの「黒蝶特性吸収」から母貝鑑別が可能となります。
但し、クロチョウガイから稀に産出される白色真珠では分光検査から母貝を特定することは出来ません。
しかし近年はDNA判定により一般的な母貝については鑑別可能という報告もあります。
宝石鑑別は日進月歩です!(黒蝶特性吸収のグラフ PDF

拡散光を用いた検査

図7
ピーコックカラーの黒蝶真珠の下半球に現れる干渉色

真珠に下方から白色拡散光を当てると、下半球に反射による干渉色を明瞭に観察する事が出来ます。
黒蝶真珠のピーコックカラーやラベンダー系の淡水真珠の干渉色は虹のように色ごと分かれて現れます。

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